こんにちは、東京都よろず支援拠点コーディネータの上條紘輝(かみじょうひろき)です。
インボイス制度が始まることがあり、最近は消費税についての話題が増えた印象です。インボイス制度の都合上、不本意ながら消費税の納税義務者になる方のために、今日は消費税の計算方法の一つ、「簡易課税制度」の話をしたいと思います。
なお、「インボイス制度自体について確認したい!」、という方は、次の記事をご覧ください。
- 東京都よろず支援拠点-経営者応援ブログ(2022年8月10日掲載)
『インボイス方式への対応準備は進んでいますか?インボイス方式の要点をおさらいしましょう』
https://tokyoyorozu.go.jp/2022-08-10/
さて今回の話ですが、次のような方にご覧頂けると、多少役に立つかと思います。
- 今まで消費税を納めていなかったけど、来年から納める必要がありそうだ。
- 今まで消費税を納めていたけど、簡易課税制度なんて知らない。売上は5,000万円以下だ。
「簡易課税制度」の前に、まずは消費税の原則的な計算方法を確認します。
なお、以降では言葉の厳密な定義などは事業者さんが理解しやすいように簡略化します。イメージを掴むための説明とお考え下さい。
消費税は原則的に、次のように計算します。
【計算方法(原則)】
A.年110万円の売上(うち消費税10万円)=10万円消費税を預かっている
B.年33 万円の仕入(うち消費税3万円)=3万円消費税を支払っている
→税務署へ納める消費税は7万円
= 預かった消費税10万円-支払った消費税3万円。
売り上げた際にもらう消費税(上記10万円)は、実は「預かっている」もので、結局は税務署に納めないといけないのですね。今まで消費税と無縁だった方は、少し感覚とズレるかもしれません。
では、「簡易課税制度」の場合、どのように計算するでしょうか?上の例を飲食業の事業者で考えます。
【計算方法(簡易)】
A.年110万円の売上(うち消費税10万円)=10万円消費税を預かっている
→税務署へ納める消費税は4万円
= 預かった消費税10万円-預かった消費税の60%、6万円(=10万円×60%)
売り上げた際の消費税のみ計算で使用します。仕入側の情報(上記“原則”のB)は無視ですね。細かい話ですが、売上(上記A)の情報しか使っていないため、実は、「税抜売上の●%の消費税を納める」という計算もすぐに出来ます。
「売上の情報だけ整理すれば消費税が計算できる!」という点が「簡易」と言われる理由かもしれません。また、インボイス制度が始めると、支払先からもらうインボイス(≒領収書や請求書のようなもの)が法定の要件に従っているかなど、逐一チェックする必要がありますが、簡易課税であれば不要です(支払う消費税の話は無視しますので)。この点も「簡易」ですね。
預かった消費税の●%(上記の例では60%)という部分は、営む業種によって異なります。また、上記の例では、「簡易課税制度」の方が有利ですが、必ず「簡易課税制度」が有利だ、ということでもありません。
ただ、計算方法が違うので、「もしかしたら自分は簡易課税の方が有利になるかもしれない!」、という可能性は感じて頂けたかと思います。
この「簡易課税制度」は原則、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者限定です。少し乱暴な言い方ですが、2年前(2事業年度前)の売上高が5,000万円以下の場合は、使える可能性が出てくるイメージでしょうか。
ただし、簡易課税制度で消費税を計算したい場合、原則、この制度を使いたい年(事業年度)が始まる前に、税務署に所定の届出書を出す必要があります。早目の行動が求められますね。
このような荒っぽいイメージを持ちつつ、興味がある方は、より正確な情報にも当たってください。
もしご不明な点がございましたら、よろず支援拠点でもご相談お受けいたします。お気軽にお越しください。