皆さん、こんにちは。東京都よろず支援拠点サブチーフコーディネーターの山中です。
人事に関する相談でよく受ける質問内容に、「人材の育成と教育」に関するものが多くあります。これで万全という特効薬のようなものはありませんが、会社運営上、気を付けるべき点はいくつかあります。
以下、私自身の勤務時代の経験や多くの相談の中でのポイントなどを基にお話しします。
まず、会社経営の上で重要なことは、会社の経営計画の目標達成に向けた「事業運営」と個々の職員の「人事評価」をいかにうまくリンク付けるかという点です。
1.気づくことは、会社として目指すべき目標や経営理念、そして実行に移すための「経営計画」を従業員に指し示すことができていない企業が多いことです。
社長自ら、自分たちの会社はどういう会社になりたいのか、何を目指しているのか、
という経営理念を社員に提示し、社長の口から語ることがなければ、社員のこころに訴えることは出来ません。
2.では、どのようにして会社の経営理念を社員に周知徹底をすればいいのでしょう?
それは、社長自らの声で繰り返し、巻き返し社員に対して語り掛けることに尽きるのです。朝礼時に社長も参加して経営理念を全員で唱和することも一つの方法です。また、その経営理念を額縁に入れて社員が見えるところに掲示して、ことあるたびに目につくようにすることも方法です。
3.次に、「人事評価」とのリンク付けをどう図るかという点を考えてみましょう。
会社の経営目標を達成するためには、会社の目標を受けた個々の社員一人一人が受け持つ業務についての目標を達成することが必要です。
まず、社長としてすべきことは、社員個々人に対して、全社の目標を明確に伝え、その達成のためには個々として何をすべきなのか、その個々の目標は何なのかを一人一人に問いかけて正しく認識していただき、文書化して書き出すことです。
これができると、「人事評価」の基準として、会社は自分に対して何をすることを望んでいるのか、それを成し遂げることで自分は評価されるのだ、ということが明確になってきます。
★特に、留意すべきポイントは、計画時に達成して欲しい目標を具体的に社長と社員が共有することです。
4.その個々の目標を社長と社員が互いに共有することで、初めてその目標達成に向けて社員個々に期待する行動や成果達成に対する評価の指針が明確になってきます。
この時、社長に求められることは評価者として「常に、公平性を心掛ける」ことです。
ここで「公平であれ」ではなく、「公平性を心掛ける」と書いたのは、人は主観をもつ動物である限り、常に客観的で公平であることは難しいからです。
ですから、社長は「常に、先入観を排除し、公平であろうと心掛ける」ことを忘れてはなりません。
5.人事評価のやり方について
評価の期間は、半年間がいいでしょう。1年トータルでの実績を見ることになりますが、できるだけ社長と社員のコミュニケーションを考えると半年に1回がいいと思います。負担にはなりますが、重要なことです。
会社の規模が大きい場合は、各部門の所属長に対して部下社員との個別面談を実施してもらうことも必要になりますが、話が複雑になるので、今回は省略して直接社員面談を行うケースでお話します。
まず、社員の口から自身の振り返りとその結果について、自己評価を発表してもらいます。その発表の内容や発表すること自体が人材育成の重要なポイントでもあります。
自らを客観的に振り返ることができるのか、目標と成果について分析ができているのか、成功した要因、未達に終わった要因分析ができるのか、なにが足りなかったのかを正しく認識させる絶好の教育機会となるからです。
多くの社長から、人材教育や育成が難しい、大変だということをお聞きしますが、こうした一つ一つの積み重ねこそが人材教育なのです。
6.そして、最後には、社長は社員の評価についてその内容と理由を具体的に伝えます。
これによって、社員に対しての期待値と評価値を伝えることで、次のステップに向けた
計画策定ができることになります。
★振返り時のポイント:対象期間の結果について評価を明確に伝え、意見を聞く
★評価(+期待値)に基づき、給与、処遇(役職や資格)について、期待を込めて伝える。
★良い点は、具体的にほめる、更なる期待や目標を伝える
★改善すべき点は、怒らない、不足した点を具体的に伝える
これこそが重要なポイントになります。
どうぞ、実施してみてください。結構、実際に行うことは大変な作業です。
ただ、社員にとって、そしてその家族の生活にとって、大変重要なことなのですから。