経営者応援ブログ

「人生100年時代の独立・創業を考える」

東京都よろず支援拠点コーディネーターの和田寿郎です。

 半世紀ほど前、定年が55歳だった頃のいわゆる終身雇用制での人生モデルでは、教育-仕事-老後の過程で、有名大学を卒業して大会社に就職し、退職金と年金で老後を悠々自適に過ごすことが「理想」だったのかもしれません。当時の平均寿命は70代前半でした。その後定年は引き上げられて現在では65歳までの雇用継続が義務化され、年金受給も原則として65歳からとなっています。一方で平均寿命が延びて「人生100年時代」がうたわれるなかで定年退職後を「老後」とは言っていられなくなっています。

 経済成長が鈍化し、少子高齢化で人口減少が進む社会ではこれまでの雇用モデルや年金制度を維持することが難しくなると見込まれています。「老後資金はいくら必要か」という議論が盛んですが、もちろん人生はお金がすべてではありません。とはいえ人生100年時代を快適に過ごすには「生涯現役」という言葉が現実味を帯びてきます。

【独立について】

 一般的には定年後にどこかの企業と安定的な雇用関係を維持していくことは難しく、生涯現役のためには独立した個人として働く道を選ばざるを得なくなります。そこで重要なのは「独自のスキル」を身につけることです。『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社)の著者であるロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授は「学び続ける、心身ともに健康、変化に向き合う」ことが100年時代の人生戦略には必要と言っています。

 シニアや女性の起業を支援している支援機関によると、相談対象を60歳前後のアクティブシニアとしていた5年前に比べて50代の相談者が増えているとのことです。これも将来を見据えて早めに手を打ちたいという動きだと思います。この世代の方々にとって独立には大変な決断と周囲の説得を要することになりますが、それは「第二の人生」ではなく、いかにして現役を続けていくか、いかにして稼いでいくかという人生100年戦略が基本的なテーマになります。

【創業について】

 中小企業では団塊の世代の経営者さんの事業承継、廃業が進んでいます(中小企業庁『中小企業白書』参照)。我が国は欧米に比べて開業率が低いことから創業への公的支援が手厚くなっています。

例えば東京都では「女性・若者・シニア創業サポート事業」として融資や経営サポートなどの支援を行っています。相談窓口としてTOKYO創業ステーションが丸の内と立川に設けられています。

よろず支援拠点でも独立・創業のご相談をお受けしていますが、創業2年程度で廃業を検討する、それも融資を受けているので簡単には廃業できない、というご相談も少なくありません。リスクをとることは必要ですが、私は、極力失敗は避けてほしいという思いで独立・創業のアドバイスをしています。また、独立・創業にはビジョンや準備、段取りが不可欠ですが、ご自分だけで考えたり悩んだりするより、第三者の意見が役に立つことがあります。

現在の会社勤めが本当に自分のやりたいことではない「世を忍ぶ仮の姿」と思うなら、まずは勉強に励み、人間関係を広げ、変化を感じ取る姿勢を持って創業に備えていただきたいと思います。「したいこと」を実現するには「できること」を増やさなければなりません。

よろず支援拠点は「人生100年時代の独立・創業」を応援します。ご相談お待ちしています。

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