こんにちは。東京都よろず支援拠点 チーフコーディネーターの弥冨尚志です。
3月25日掲載、当拠点の和田COのブログ(https://tokyoyorozu.go.jp/2024-03-25/)をご覧になられた方も多いかと思います。
テーマは「人生100年時代の独立・創業を考える」ということで50代の創業が増えていると言うお話がありました。確かにシニアと呼ばれる方の創業は増えていると思います。今までの人生経験や勤めてきた企業でのノウハウ・知見・ネットワークを活かして堅実なビジネスプランを構築されて当拠点にご相談に来られる方も多いのですが、実はタイトル通り「失敗の既定路線」の方が多いのも事実なのです。
【創業成功のキーワードは3つ】
創業(新規事業含む)は以下の3つの要因が揃って初めてスタートラインに立てるのですが、多くの方はそのいずれか、または全部が十分ではありません。
1,提供する商品・サービスが完成している。
2,購入する顧客が将来に渡り十分に獲得出来ている。
3,事業を運営する十分な資金が用意出来ている。
この順番で検討する事が必要です。新規事業の場合は2番が最優先になり市場規模や市場の占有率をどれだけ獲得できるかも大事なポイントになります。創業の場合は1番です。先ずは「売りモノ」が顧客にすぐ手に取ってもらえる状況なのかここが重要です。
【提供する商品・サービスが完成している】
これは具体的にどういう状態を指すのでしょうか。そのポイントをお示しすると以下の内容です。
ア,十分なスキル・経験があり客観的な評価が出来ること。
イ,市場のニーズにマッチしている、地域のニーズにマッチしていること。
ウ,他社の模倣が困難であること。
エ,価格・数量・仕様・納期・提供方法・提供場所が適正であること。
オ,適正な利潤が確保できていること。
この5つの観点から創業されようとしているビジネスモデルを検討させて頂くと意外に
ア、の十分なスキルや経験がないにも関わらず創業されようとしているケースです。特に「想い」が先立っており、その始めたい事業の社会的意義や必要性から始めようとされる場合です。
事例)化粧品小売りを始めたい50歳、データセンターにお勤めの女性Aさま
長年、肌トラブルに悩み自分に合う化粧品が無く不便に感じていた矢先、同僚や後輩からも同じ悩みを耳にするようになり「これは一番苦しんできた私が解決すべき問題では」と創業を決意。基礎化粧品を知り合いの大学の教授と一緒に共同開発して世に出すために先ずは開発資金(融資で)を取得したい、と言うご相談。
アドバイスの視点
この内容を診て皆さん、どう思われますか?
例えば長年、化粧品メーカーの開発部門に在籍して会社の商品開発方針に納得できず日本の女性にあったいい素材を使った化粧品のレシピを開発したのでこのレシピを基に事業を興したい、BさんがいればAさんとどっちが望ましいと思いますか? 普通はBさんですよね。Bさんの方が実現可能性は高そうですよね。
でもここで大事な視点は「時間」です。知識や経験がほぼないまま、外部に依存するリスク、それは自身の本当の「強み」ではない事です。そういう事もありますが経験を積むことで化粧品及び化粧品業界の事も知識やノウハウが蓄積されるかもしれません。それには「時間」が掛かると言う事です。
ビジネス(商売)とはお金を得る手段です。サラリーマンではないので創業したらなるべく早くキャッシュが入る仕組みが必要です。そのためにはア,の要因はとても重要です。未完成であれば顧客に受け取ってもらえるまで、お金になるまで時間が掛かると言う事です。ここで勘違いされがちな事で経験がないからゼッタイダメだと言う事ではありません。「想い」が強く何が何でも成し遂げる気概があれば「経験値」を乗り越える事もあります。しかし、時間が掛かると言う事です。
今回はタイトルがネガティブな表現でしたが、創業における先ず最初のポイントは
・提供する商品・サービスが完成している。その中でも、ア,の十分なスキル・経験があり客観的な評価が出来ること。 これがしっかり出来ていない≒収益が上がるまで時間が掛かる、それは運転資金等の資金が嵩むことにつながっていく事になることに気づいて欲しい事なんです。
残りのイ~オもアの内容によって大きく影響を受けます。とても大事なポイントなんです。
創業融資の事も含めてご相談されたい方がいらっしゃれば是非、東京都よろず支援拠点にお越しください。
詳しくご説明させて頂きます。ご予約をお待ちしております。