経営者応援ブログ

ブランディングの成功と失敗。事例で考える今こそ必要なブランディングで取り組む最初の一歩

ブランディング

こんにちは。東京都よろず支援拠点 コーディネーターの松本典子です。

ブランディングが必要なのではないか?今年こそブランディングに力を入れていきたい。でも、そもそも何から始めたら良いのか?悩まれている方も多いのではないでしょうか。

ブランディングのポイントは、「思い出してもらえるか」「商品・サービスの価値・独自性をイメージしてもらえるか」の2つです。

ブランドという言葉は、牛に焼印を押して他と区別していたことに由来しています。

世界最大のマーケティング組織であるアメリカ・マーケティング協会は、ブランドを以下のように定義しています。

「ブランドとは、売り手の商品やサービスの独自性を示す、名前、言葉、デザイン、シンボルなどあらゆる特徴を指します。ISO(国際標準化機構)では、これに加えてブランドとは、利害関係者に独自のブランドイメージを想起させることで、経済的価値や利益を創出する無形資産であると定義しています。」※1

具体的には、どのようなことになるのでしょうか。

2歳になる娘と幼児番組を観ていた時に、夫がこう言いました。「あれ?(ファーストフードチェーンの)マクドナルドの農場の歌があるの?知らなかった。」テレビで流れていた曲は”Old MacDonald Had A Farm”(日本語タイトル「ゆかいな牧場」)でした。直訳すると「マクドナルド爺さんの牧場」です。もちろんファーストフードチェーンのマクドナルドの歌ではありません。

聞いてみると夫は、マクドナルドと聞いて「ファーストフードチェーンのマクドナルド」を思い出して、次に「2段に重なったビーフパティのビックマック」を連想していました。まさにブランドを思い出して、商品・サービスの価値・独自性をイメージしていたのです。マクドナルドのブランド力の強さがうかがえます。

一方で、ブランディングに失敗して、市場から撤退していった例もあります。パン業界は定期的にブームがあるのですが、2019年頃に高級食パン専門店が話題になったのを覚えているでしょうか。小麦粉、バター、砂糖、蜂蜜など厳選した高級素材を選び、ふわふわな食感が話題になりました。しかし、ピークから3、4年後には高級食パン専門店の閉店ラッシュのニュースが耳に入るようになりました。

なぜ、高級食パン専門店の多くは苦戦して、閉店に追い込まれるようになったのか。

高級食パンが出始めた頃は、商品・サービスの価値・独自性が伝わり、「高級食パンと言えば○○」と思い出してもらえたからこそ、広がっていったと思われます。しかし、高級食パンというジャンルが定着するにつれて、競争が激化しました。

消費者は、高級食パン店が多くなりすぎて「商品・サービスの独自性」が見えなくなり、どの店舗を「思い出せば」良いのかわからなくなりました。個々の高級食パン店のブランド力が低下していったのです。

また、ユニークな名前の店舗が増えていったことも、高級食パン専門店にとって悪い流れとなりました。商品・サービスそのものに価値や独自性がある場合は、ストレートにそれを伝えた方が顧客に伝わります。しかし、商品・サービスの特徴と関連が薄い店名がつけられることで、インパクトはあり、思い出してもらえる機会は増えたのですが、商品の価値や独自性が伝わりにくくなりました。消費者はリピート購入する価値があるのか判断できなかったと思われます。

さらに高級食パン専門店の事例を聞くと、ブランド力を強化していったとしても、いずれ真似をされては意味がないのではないか、と気になる方も多いのではないでしょうか。実は、良い商品やサービスはいずれ真似をされる運命にあります。良いからこそ、みんな真似をするのです。商品やサービスが市場で評価されている証拠です。

さらにブランディングを強化していくには、現時点で当社の商品・サービスを評価してくれている顧客は、誰なのかを見極めること。あらためて自社の商品・サービスの価値や独自性を見直して、消費者のニーズに応える差別化のポイントを明確にしていく必要があります。

ブームが去った後でも、パン屋好きな私の母は高級食パンが好きでした。店ごとの味を見極めて、どの食パンのどの味を評価しているのが明確でした。このような顧客の声を拾い、評価されている点を見極めることで、他社とは異なる自社の商品・サービスの価値や独自性を再度見出すことができます。

真似をされるのは商品やサービスが市場で評価されている証拠。先駆者として、市場の変化に合わせて、さらに差別化して、市場をリードしていく必要があるのです。

では、実際にはどうしたら良いのでしょうか。

第一歩は、「商品・サービスの価値・独自性」を整理していくことです。今あるお客様の声を聞いてみましょう。購入しているお客様は、当社の商品・サービスの価値・独自性をどのように評価しているのでしょうか。実は、私たちがメインターゲットと考えている顧客、私たちが価値や独自性と考えている点が、実際に調査してみると実態とズレていることがあります。

東京都よろず支援拠点は、融資や補助金、創業などに関わる事業計画書の作成のご相談を多くお受けしています。事業計画書を作成していく中で、商品・サービスの価値・独自性や、当社を評価する顧客の顔、市場の動向や差別化の方向性が見えてきます。

ブランディングを強化するにあたっては、想起してもらうことが重要ですが、どのように「商品・サービスの価値・独自性」を伝えていくかも重要です。

情報発信には様々な手法がありますが、当拠点でアドバイスを受けた事業計画書を元に、デザイナーにロゴやデザインイメージを相談する方もいらっしゃいます。

ブランディングを強化する第一歩は、壁打ちすることで見えてきます。当拠点で皆さまとお話しできるのを楽しみにしています。

※1 アメリカ・マーケティング協会によるブランドの定義原文

“Definition of Brand

A brand is a name, term, design, symbol, or any other feature that identifies one seller’s goods or service as distinct from those of other sellers.

ISO brand standards add that a brand “is an intangible asset” that is intended to create “distinctive images and associations in the minds of stakeholders, thereby generating economic benefit/values.” 出典:https://www.ama.org/the-definition-of-marketing-what-is-marketing/

 

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