経営者応援ブログ

1月以降の資金繰り支援策を活用して収益力向上、経営改善に取組みましょう

こんにちは。東京都よろず支援拠点 コーディネーターの和田寿郎です。

コロナ禍で売上激減、資金が枯渇という多数の事業者さんの資金繰り相談に乗ってから5年が経とうとしています。「コロナ禍が収まって売上が回復すれば何とかなる」という考えはやむを得なかったと思います。しかし、コロナ禍が終息しても人手不足、原材料費の高騰など新たな問題が生じていることもあり、経営改善を図らなければ収益力が向上せず、資金繰りが改善しないというケースも少なくありません。

本ブログでは、最新の支援策を活用した経営改善を考えてみます。

1.  ゼロゼロ融資と返済据置の終了

中小企業庁によると2020年度末時点で、コロナ禍での資金繰り支援策として特別融資(ゼロゼロ融資)が政府系、民間合わせて249万件、43兆円実行されました。返済は最長5年の据置が認められましたので、融資金を資金繰り補填に充て、その返済は当面猶予されました。

据置期間の終了の最後の山は2024年4月でした。返済の開始で資金繰り負担が増えるわけですが、本来は「返済の据置で資金繰りが支援されているあいだに収益力向上や経営改善に取組む」という趣旨でしたが、すべての事業者さんに理解されたわけではありません。金融機関のある支店では12月に入って資金繰り相談が増えたとのことで、据置終了の影響が出てきたようです。

ゼロゼロ融資は資金繰りにプラスに作用しましたが、負債を増加させたわけですからコロナ禍前以上の売上、利益を上げなければ返済できないことになります。

2. コロナ禍での生活習慣の変化とビジネスモデル

コロナ禍で外出が制限され在宅勤務が奨励され「巣ごもり消費」や食事の宅配が盛り上がりました。これらの変化が一過性のバブルのようなものなのか、新しい習慣として定着していくのか、見極めが重要です。

変化の一つが葬儀です。葬儀は三密に意義がありましたが、これが制限されたために家族葬が増え、それが一般化しつつあります。ここには葬儀に金を掛けたくない、義理で参列したくないという潜在的な本音がコロナ禍をきっかけに顕在化したのではないかと思えます。

葬儀業は規模の大きい葬儀場を用意して規模の大きい葬儀の受注を目指すというビジネスモデルが多かったのですが、家族葬が主体になると大きい葬儀場は不要になります。このように生活習慣や「常識」が変化したことでビジネスモデルを見直すべき事業者さんがおいでになると思われます。

3. 2025年1月からの中小企業向け資金繰り支援

2024年11月28日に経済産業省は「2025年1月以降の中小企業向け資金繰り支援について」を公表しました。以下はその前文です。

「コロナからの社会経済活動の正常化が進む中、経営上の課題は、売上減少から、

人手不足・賃上げ・原材料費高騰等への対応にシフトしていることから、各種資金繰り支援策についても、経営改善・再生はもちろん、成長促進も含めて、多岐にわたる経営課題に対応できるよう見直していく」

経営改善、企業再生、成長促進が目的とされており、民間金融機関(信用保証協会)、政府系金融機関(日本政策金融公庫)の支援メニューが紹介されています。

2025年1月以降の中小企業向け資金繰り支援の全体像

【出典】中小企業庁 2025年1月以降の中小企業向け資金繰り支援の全体像

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/support/shikinguri.pdf

ここに紹介されている融資を受けるためには一定の要件を満たすとともに経営改善計画や企業再生計画の策定と実行が必須となっています。

コロナ禍以降に生じている環境変化やそれによる経営課題への対応も必要ですが、前述したコロナ禍による環境変化や消費者の本音の顕在化などによるビジネスモデルの見直し、さらにはコロナ禍以前からのビジネスモデルが陳腐化していないかという検討も必要です。現状で資金繰りが厳しいということは、このあたりに問題がある可能性があります。

詳細は省略しますが、計画策定には信用保証協会や活性化協議会などが専門家とともに支援に当たります。

4. おわりに

資金繰りにとらわれて融資が受けられたとしても、それだけでは負債が増えていずれ再び資金が必要になるかもしれません。融資以外に返済猶予という金融支援もありますが、とりあえず資金繰りが安定したということは収益力改善、経営改善のための「時間が得られた」と考え、この時間を有効に活用してください。

東京都よろず支援拠点は資金繰りや経営改善のご相談に乗るとともに、東京信用保証協会、東京都中小企業活性化協議会などの支援機関と連携してご支援に当たります。ご相談予約をお待ちしています。

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