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生成AIのビジネス活用は待ったなし!〜中小企業こそ取り組むべき理由とは〜

こんにちは、東京都よろず支援拠点のサブチーフコーディネーター吉野太佳子です。

ChatGPTの登場以降、生成AI(Generative AI)の技術はわずか数年で飛躍的に進化しました。いまではニュースや日常業務の中でもその名を耳にすることが増え、経営の現場にも少しずつ浸透しつつあります。
それでも、「関心はあるけれど、実際にどう業務へ活かせばよいのか分からない」という声を多くの中小企業経営者から聞きます。生成AIは、もはや特別な企業だけのものではありません。経営を支える実用的なツールとして、中小企業にも活用のチャンスが広がっています。

日本企業における生成AI活用の現状

まず、国際的な比較から見てみましょう。

総務省『令和7年版情報通信白書』の「生成AIの活用方針策定状況(国別)」によると、生成AIを「積極的に活用する方針」または「活用する領域を限定して利用する方針」と回答した企業の割合は、米国84.8%、ドイツ76.4%、中国92.8%に対し、日本は49.7%と半分に届きません。

出典:総務省『令和7年版情報通信白書』 「生成AIの活用方針策定状況(国別)」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd112220.html

また、実際に「業務で生成AIを使用している」と答えた企業の割合も、日本は55.2%にとどまり、他の3か国(いずれも90%以上)に比べると、大きな遅れを取っています。
この差は単なる技術導入の遅れではなく、生産性や競争力そのものの差に直結します。
海外ではすでに、生成AIを業務に取り入れる企業とそうでない企業の間で成果の格差が明確になりつつあります。日本企業も「様子を見る」段階から「どう取り入れるかを設計する」段階へとシフトする必要があります。

国内でも進む「AI格差」―中小企業が置かれている現状

国内に目を向けると、大企業と中小企業の間でもAI活用の格差が広がっています。情報通信総合研究所(ICR)の調査によれば、従業員1,000人以上の企業と中小企業の間では、生成AIの導入率に2倍以上の差があることが分かっています。

出典:情報通信総合研究所「生成AIの企業における導入状況や活用に関するアンケート調査」
https://www.icr.co.jp/publicity/5135.html

つまり、生成AIを試験的にでも導入している中小企業は、全体の1割に満たないのが実情です。しかし裏を返せば、今から始めても十分に先行者優位を取れるタイミングだということでもあります。

中小企業が生成AIに取り組むべき3つの理由

(1)人手不足と採用難への対応

慢性的な人手不足の中で、業務量に対して人員が追いつかないという声をよく聞きます。生成AIは「人を減らすための仕組み」ではなく、「人が本来やるべき仕事に集中できる環境をつくるツール」です。入力や文書整理など、時間のかかる作業をAIが代替することで、限られた人材をより創造的な業務に振り向けることができます。

(2)生産性向上が経営の最重要課題になっている

人材・資金・時間といった経営資源が限られている中小企業にとって、「効率化」と「創造的な付加価値の創出」は表裏一体です。生成AIは、単に作業を速くするだけでなく、考えるスピードを上げ、意思決定を支えるツールでもあります。

(3)変化への対応力を身につける

AI技術の進化は非常に速く、今後も新しいツールや機能が次々に登場します。今から慣れ、実践を通じて「デジタル対応力」を社内に蓄積しておくことが、数年後の競争力を左右します。

生成AIがもたらす5つの実践的効果

生成AIの導入によって得られる具体的な効果を、経営の視点から整理してみましょう。

(1)業務効率化

議事録、報告書、メール文面、マニュアル作成など、日常的な定型業務はAIの得意分野です。例えば、会議録をAIに要約させるだけでも、年間で数十時間の業務削減が可能です。

(2)コスト削減

これまで外注していた資料作成や文章作成を社内でまかなえるようになれば、コストを削減できます。多くのAIツールは無料または低コストで利用できるため、費用対効果も高いのが特徴です。

(3)人材の有効活用

AIが下書きや整理を担当し、人間は確認と判断に専念する。 この分業によって、従業員一人ひとりの生産性が向上します。AIを部下ではなく“右腕”として使うイメージです。

(4)生産性向上と新しい発想の創出

広告や販促コピー、新商品のアイデア出しなど、AIは創造的な発想を広げるきっかけにもなります。AIが提案した内容をもとに、人間が磨きをかけることで、スピードと質の両立が実現します。

(5)意思決定の迅速化

AIにデータを整理・要約させ、経営判断に必要な情報を素早く得る。この流れを日常業務に取り入れることで、判断のスピードと精度が大幅に向上します。

生成AIを使うときの注意点とリスク管理

便利な一方で、生成AIの利用には注意も必要です。東京都デジタルサービス局が公開している「文章生成AI利活用ガイドライン」では、次の4つの基本ルールが示されています。

  • 機密情報や個人情報を入力しない
  • ハルシネーション(誤情報生成)に注意する
  • 成果物は必ず人間が確認する
  • AI生成情報をそのまま掲載する場合は注釈を添える

出典:東京都デジタルサービス局 「文章生成AI利活用ガイドライン」https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/digitalservice/ai_guideline

特にハルシネーションとは、AIが“もっともらしい誤り”を生成してしまう現象です。AIの出力結果をそのまま信じるのではなく、「一次情報にあたる」「複数のソースで裏付けを取る」という姿勢を徹底しましょう。

さらに、サービス提供元の変更や終了のリスク、人材育成の遅れによる「AIリテラシー格差」にも注意が必要です。AIを使う仕組みだけを導入しても、人が使いこなせなければ成果は出ません。ツールの導入と同時に、「どう使うかを学ぶ」体制づくりが不可欠です。

導入を成功に導く5つのステップ

これから生成AIを取り入れる経営者に向けて、実践的な導入ステップを整理します。

(1)目的を明確にする

「何のために使うのか」を明確にすることが第一歩です。業務効率化なのか、アイデア創出なのかで導入するツールや使い方が変わります。

(2)小さく始めて成果を確認する

最初から全社導入を目指す必要はありません。営業資料や報告書の作成など、限定的な領域で試すところから始めましょう。

(3)社内ルールを整備する 

生成AIの利用目的、禁止事項、確認手順などを明文化します。ルールが曖昧だと、誤情報や情報漏えいにつながります。

(4)効果を測定し、共有する

削減できた時間やコストを「数値」で可視化することが大切です。成果を共有することで社内理解も進みます。

(5)学び続ける仕組みをつくる

AIは日々進化しています。社内で勉強会を開く、専門家のセミナーを受けるなど、継続的なアップデートが必要です。

リスクの先にある「チャンス」

生成AIの導入をためらう理由として、「誤情報」「コスト」「人材不足」などが挙げられます。しかし、これからの時代においては、「使わないリスク」の方がはるかに大きいと言えるでしょう。
生成AIは、人間の仕事を奪うものではありません。むしろ、人間の知恵や創造力を最大限に引き出す“パートナー”です。
中小企業にとっては、業務効率化と新しい価値創出を同時に実現できる数少ないチャンスでもあります。最初の一歩は小さくても構いません。
まずは、身近な業務からAIを試し、使いながら学んでいくことが重要です。
変化を恐れず、小さな一歩から始めてみてください。
生成AIの導入や活用に関してお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談をお待ちしています。

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