こんにちは。東京都よろず支援拠点 コーディネーターの添田です。
どんなに素晴らしい商品やサービスを持っていても、資金繰りが苦しくなれば経営は立ち行かなくなります。経営者が常に意識すべきは「キャッシュポジション(手元流動性)」の適正な確保です。これは現金やすぐに現金化できる預金の合計、すなわち手元に残る現金の“余力”を示します。キャッシュポジションを十分に高めておくことで、資金ショートのリスクを低減し、経営の安定力を強化することができます。
■ なぜキャッシュポジションが重要なのか
キャッシュとは企業の血液のようなものです。売上が計上されても、顧客からの入金まで時間がかかれば手元資金は減っていきます。一方で、仕入れや人件費、税金の支払いは期日が厳格です。利益が出ていても資金繰りが追いつかず、経営に支障を来すことすらあります。これは多くの中小企業が直面する課題です。キャッシュポジションを適切に維持することで、突発的な支出や取引先の支払い遅延などに柔軟に対応できるようになります。
キャッシュポジションは月商の1〜2か月分(理想は3か月分)を目安に高めておくことが望ましいとされています。これがあれば、売上の変動や季節による落ち込みがあっても経営の余力として十分に働きます。
■ キャッシュポジションを高める具体策
では、実際にどのようにキャッシュポジションを高めていけばよいのでしょうか。代表的なポイントを紹介します。
(1)現金収入(キャッシュイン)を増やす
まずは売上・利益の強化です。ただ単に売上を増やすだけでなく、付加価値の高い商品・サービスを提供し、粗利益率を改善することが重要です。値入れや販売単価の見直し、既存顧客へのリピート提案などで、単価向上や販売効率を高めましょう。
(2) 売掛金の回収を早める
顧客からの入金が遅れると、その分だけ手元のキャッシュは減ります。請求書の発行を迅速に行う、支払い条件を見直す、前受金や早期支払い割引を導入するなど入金サイクルを短縮する施策が効果的です。外部の決済サービスやクラウドシステムの活用も検討しましょう。
(3) 支払条件や経費を見直す
支払い側の条件を見直すこともキャッシュポジション向上に寄与します。仕入先との支払条件を延ばせないか交渉したり、経費の無駄を削減することでキャッシュの出を抑えましょう。リースや外注の活用も固定費削減策のひとつです。
(4)過剰在庫の解消・資産の見直し
在庫は売れるまで現金化されません。適正在庫管理と不要在庫の処分は、キャッシュの固定化を防ぐうえで重要です。また、使っていない資産があれば売却や有効活用を検討し、キャッシュに転換しましょう。
(5)資金調達も視野に入れる
手っ取り早くキャッシュポジションを高める方法として、金融機関からの借入やファクタリングなどの資金調達があります。ただし借入金は返済負担が経営を圧迫するリスクもありますので、返済計画や資金ショートの回避策をしっかりと立てたうえで利用することが大切です。
金融機関からの借入については日頃からの金融機関とのコミュニケーションが大切です。金融機関はキャッシュポジションの高い企業(日頃から預金を預けている企業)に対しては、その信用により資金調達に容易に応じる傾向にあるのも事実です。
■ 日々の経営でのキャッシュ意識
キャッシュポジションを高めることは、一度やれば終わりではなく、日々の経営判断の中にキャッシュ意識を組み込むことが重要です。資金繰り表やキャッシュフロー予測を定期的に見直し、入出金のタイミングを把握して先手を打つことで、初めて経営の安定力が高まります。
最後に、経営は利益と同時に“手元現金”をどう守るかが長期的な発展に直結します。キャッシュポジションを高め、リスクに強い経営体質をつくることが、未来の成長への基盤となります。東京都よろず支援拠点へのご相談は何度でも無料で行うことができます。これまでご利用されたことがある方も、ご利用されたことがない方も是非ご相談にいらしてください。