東京都よろず支援拠点 立川事務所所属の橋爪直幸です。
私が中小企業診断士として企業を支援する際に、バリュー・エンジニアリングの知識・資格(VEスペシャリスト)を活用し、経営価値の向上・最大化を目指すための助言や伴走支援を行うケースが有ります。
バリュー・エンジニアリング(以下VEと表記)とは第2次世界大戦直後のアメリカGE社の全社的取り組み「より優れた製品をより安く作る方法の追求活動」が発展し、VEとして体系化され国防省をはじめとする多くの政府機関や製造業で導入されました。
日本でも本格的にVEを経営活動として取り組む製造業や建設業が1970年ころから増え始めて以降、半世紀以上に亘り発展し続けている技術です。
VEは「最低のライフサイクル・コストで、必要な機能を確実に達成するために、製品やサービスの機能的研究にそそぐ経営的努力」と定義されており、モノづくりの現場だけではなく、業種を問わず活用できる経営の考え方であり、経営に投下したコストで最大限の効果を獲得しようとする活動は企業経営の本質的な目的と言えます。
会社の4つの経営資源「ヒト」(人材や組織)、「モノ」(在庫や設備)、「カネ」、「情報」(技術やノウハウ・知財・取引先)は獲得し維持し活用する都度に必ずコストが掛かっています。中小企業の多くは残念ながら経営資源が潤沢とは言えませんから、限られた経営資源を効果的に活用し、「利益の最大化」という成果を求める必要があります。だからこそお宝である個々の経営資源の活用先や活用方法を定期的にモニタリングし、その成果を測定することが必要となります。その結果成果が出ていない、または成果が乏しいと判明すれば活用先や活用方法を見直さなければなりません。
- 外回りでの新規顧客開拓や御用聞きを営業活動と称していませんか。
- エネルギー効率が悪く故障が多発する設備を使い続けていませんか。
- 高い金利での運転資金調達が常態化していませんか。
- 税理士から提出される決算資料や試算表は内容の詳細の説明を受けていますか。
これらは全て経営資源、即ちコストの一例であり、会社のいたるところに効果を測定すべき経営資源はあります。
本格的な効果測定の進め方の一例として、得意先別利益または商品別利益とそこに投下している経営資源に要するコストから算定する方法が有りますが、何らかのルールに基づきコストを配賦する等の「管理会計」のノウハウが必要となるためやや難易度は高いので、まずは経営資源の棚卸とそれら経営資源がどのように活用されているかを取り纏めてみることをお勧めいたします。
整理をしてみるだけでも利益への貢献度の凡その感じは掴めるはずです。