こんにちは。東京都よろず支援拠点 コーディネーターの松本典子です。
生成AIを経営に活用する場面が増えています。
文章や画像はもちろん、事業計画書やLP(ランディングページ)まで、生成AIを使って作れるようになりました。
私自身も、資料の下書きやアイデアの整理などに生成AIを活用しています。
便利になった一方で、経営相談の現場では、少し気になることもあります。
それは、「きれいにまとまっている。でも、何かが足りない」という成果物です。
■「それっぽい」事業計画書に足りないもの
生成AIで作成した事業計画書を拝見していると、こんなケースがあります。
文章は読みやすく、事業の強みもしっかり書かれています。
「長年培ってきたノウハウ」
「顧客ニーズに寄り添った提案力」
「きめ細かなサービス」
一つひとつを見ると、間違っているわけではありません。
ところが読み進めてみると、
「これは、ほかの会社にも当てはまるのでは?」
と感じることがあります。
融資や補助金のための事業計画書では、「強みがある」と書くだけでは十分に伝わりません。
その根拠となる経験や実績、顧客との関係、技術やノウハウなどを具体的に示すことが大切です。
例えば、「丁寧な対応」が強みなら、お客様から実際にどんな言葉をいただいているでしょうか。
「高い技術力」なら、それが表れる具体的な実績は何でしょうか。
「なぜ当社を選んだのか」を、お客様に聞いてみるのも一つの方法です。
そして、AIが書いた「自社の強み」の社名を、競合他社の社名に置き換えてみてください。
それでも文章が成立するなら、まだ「自社ならではの強み」にはなっていないかもしれません。
■プロンプトだけでなく「コンテキスト」も意識する
生成AIでは、プロンプト(AIへの指示や質問)に注目が集まりがちです。
一方で、回答に必要な背景や前提となる情報も重要です。
こうした情報は「コンテキスト」と呼ばれます。
例えば、自社の顧客、実績、得意なこと、競合との違い、経営者の経験などです。
こうした自社固有の情報が少なければ、AIからも一般的な「それらしい答え」が返ってきがちです。
AIに「強み」を一から作ってもらうのではなく、自社にある「強みの材料」を渡して、一緒に言語化する。
そんな使い方も有効です。
なお、AIが提示した実績や数字などは、必ず事実を確認しましょう。
特に融資や補助金の申請では、AIが作った文章をそのまま使わず、内容を確認することが重要です。
■AIで作ったLP、きれいなのに反応がない?
生成AIで作ったLPについても、同じようなことが起こります。
LPは、商品やサービスを紹介し、問い合わせや購入などにつなげるWebページです。
「AIでLPを作ったものの、反応がない」という場合、ページを確認すると、デザインも文章もきれいにまとまっていることがあります。
ところが、顧客の悩みや商品の価値、問い合わせへの導線が十分に設計されていない。
その結果、会社や商品の魅力は伝わっても、問い合わせや購入などの行動につなげる「セールスライティング」の視点が不足していることがあります。
では、AIに何を伝えればよいのでしょうか。
「誰に届けるのか」
「その人は何に困っているのか」
「自社はどんな価値を提供するのか」
「読んだ人に、次に何をしてほしいのか」
まず、この4つを考えてみてください。
その答えが、AIに渡す重要な材料になります。
■AI時代だからこそ、マーケティングの基本に戻る
ここまで読んで、何かお気づきになったでしょうか。
AIに渡す材料を整理していくと、結局は「顧客は誰か」「どんな価値を提供するのか」「自社の強みは何か」「競合と何が違うのか」を考えることになります。
これらは、生成AIが登場する以前から、マーケティングで大切にされてきた基本です。
AIから「それっぽい」答えしか返ってこないとき。
それはAIの問題だけではなく、自社の強みや顧客への提供価値を、まだ十分に言語化できていないサインかもしれません。
生成AIによって、「作ること」のハードルは大きく下がりました。
だからこそ、「何を、誰に、何のために作るのか」を考えることが、これまで以上に重要になっています。
AIは、材料を渡せば考えを整理する良い相手になります。
東京都よろず支援拠点では、マーケティングや販路開拓、創業、事業計画など、さまざまな経営課題についてご相談いただけます。
「AIで作ってみたけれど、これでよいのかわからない」
「自社らしい強みをうまく言葉にできない」
そんな段階でも構いません。
AIで作った事業計画書やLPをお持ちいただいても構いません。
生成AIも上手に活用しながら、「誰に、どんな価値を、なぜ自社が提供するのか」を一緒に整理してみませんか。
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