こんにちは、東京都よろず支援拠点のコーディネーター大庭聖司です。
先日ミニセミナーとして、「建設業界におけるDX」を実施しました。建設業においてもDX化がどんどん進んでいます。そういった情報を共有し合う会(ミニセミナー)となりました。
自分自身、大変勉強になりました。そこで今回は、ミニセミナーに参加された企業様の取組事例についてご紹介します。
■建設業におけるIT化・DX化の例
MAを導入している建設会社
ホームページにMAを導入する設計事務所があります。MAとは「Marketing Automation」の略で、マーケティング業務を自動化・効率化するための仕組みやツールのことをいいます。こちらの企業様では、ホームページに掲載した施工事例にMAを搭載しています。
具体的には、「誰が」「どの施工事例を見たか」といった情報をストックする仕組みになっています。
1つ質問をします。みなさんが家を修繕するとすれば、どこを修繕しますか?
答えはカンタン、みんなバラバラということです。そのため、一般に建設会社ではあらゆる施工事例をカタログにまとめて売り込みをすることになります。
しかし、MAを導入した企業は違います。顧客が閲覧した施工事例を元にピンポイントな提案ができます。「Aさんが水道工事の履歴を閲覧した。だから水道工事のカタログを元にいくつか提案してみよう。」といった具合です。
BIMを先駆けて導入する設計会社
BIMと呼ばれるCADに変わる新しい設計ツールがあります。BIMで設計すると、直ちにどれだけの資材がいくつ必要かを自動計算することができます。これは画期的なことのようです。
一般に、建築業界では、資材を過小に仕入れて職人が作業できず手待ちになるくらいなら、やや過剰に資材を仕入れる傾向があり、その結果余ってしまうということがあります。
CADによる設計だけでもだいたいの材質は分かるのですが、断熱材や細かい部品など見えづらい資材はどうしても計算が難しく、欠品が怖くてたくさん仕入れてしまうんですね。
しかし、BIMであればそういったデータもきちんと登録する必要があるため、初期設定はCADに比較して面倒ですが、その分正確な資材計算が可能となります。
現場のレポートを簡単にするシステムを開発したIT会社
現場仕事が多い建築業界にとって、現場の作業レポートをわざわざ事務所に戻って作成することは面倒でしかありません。この移動をなくすためのシステムを開発した会社もあります。みんなが使い慣れているLINEを活用し、口頭でいくつかつぶやいたり、写真を撮ったりするだけで自動的にクラウド環境に文字情報や画像情報をストックし、日報データに変換する仕組みです。
ちなみに、このような現場でレポートを作成する、というシステムは他にも清掃会社やメンテナンス会社でも見受けられます。
■IT化・DX化が進んでいる企業の特徴
IT化・DX化が進んでいる企業は共通して次のような特徴があります。
(1)収益性が高い
当たり前ですが、同じ時間の中で生み出す売上が違います。ムダも出ません。そのため、IT投資を行っている企業は伸びているという印象です。
(2)働き方が比較的まともである
経営資源が限られているのが中小企業ですから、社長や役員の方が遅くまで働くことは当然あります。それでも、いわゆるブラック企業になっている企業というのは少ない印象です。
全てを紙で管理して、かつ手作業でものづくりを行っているような企業がもっともブラックになりがちだという印象があります。
(3)新しいことに挑戦する
これはIT化の副産物のようなものですが、新しいシステムを使うということは、どんな人にとってもそれなりに心理的・物理的負担があります。そういった負担を受け止める力のある企業は、おのずと新しいことに挑戦する力があります。新しい事業に取り組むといった経営面にもプラスの影響を及ぼします。
上記の取り組みをヒントにしていただき、ぜひとも自社で使えそうなITツールを探してみて、DX化に挑戦してみてくださいね。
「もしかするとうちの業界でもIT化・DX化が進んでいるかもしれない」
「こんなことをIT化できないか」
そういった相談があればぜひとも当拠点をお訪ねください。
私だけでなく、さまざまなコーディネーターがいろんな業界の企業様への助言を通じて情報をストックしています。何かお役に立てることがあるかもしれません。
みなさまの来訪をお待ちしています。